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金子と『らいっきっく~屋』の天野村雲


 私の友人に金子という変な物を集める趣味がある奴がいる。

 「おい、伊藤。天野村雲を手に入れたぞ」
金子が手にしているのは、一本の木刀だった。
「んなパチもん。どこで手に入れたんだよ」
金子はある店の看板を手にした木刀、天野村雲で指差す。
『らいっきっく~屋』
意味も何語かも分からなかった。
ライラック(※花の名前)の誤字かと思った。
「他にもおもしろいもんがあるぜ。見に来いよ」
嬉々として天野村雲をブンブン振り回す金子。
そして、金子は再び『らいっきっく~屋』に吸い込まれていく。
これ以上金子が変な物を買わない為にも、結局は自分も『らいっきっく~屋』に入るしかなかった。

 想像通りを通り越して想像以上に『らいっきっく~屋』は変わった店だった。
平石という名前のワイヤーに、与市という名の和弓。
源治の盾という名のフライパンも売っていた。
金子が買った天野村雲も直ぐに見つかった。
一応、値段は普通の木刀と同じぐらいだったのは、『らいっきっく~屋』の良心と言えるのだろうか。
「ここは何の伝説の武器屋だ・・・・・・」
そう呟くと、金子がコンパクト鏡を持ってきた。
「八咫鏡(やたのかがみ)だ。残るは勾玉だけだぜぃ」
ラベルには『八蛇』と書いてあった。
この『らいっきっく~屋』もここまで来ると尊敬に値する。
きっと最後は八坂似勾玉と書くに違いない。
しかし、これだけは言わせてくれ。
「天野村雲じゃなくて、天叢雲だな」
自分は携帯の画面でその文字を入力し、金子に見せた。

 時間が停止した金子は天野村雲をカツーンと、『らいっきっく~屋』の床に落とした。